空き家で新規事業!物件の探し方と資金調達 ~岐阜県飛騨地方の各市町村の補助金まとめ~

全国的に空き家が増えています。飛騨地域も空き家が目につくようになり、今ある資源を有効に活用したいという動きが高まっています。
そこで今回の記事は、岐阜県飛騨市で空き家を改装され宿泊施設を運営されている株式会社美ら地球 取締役 山田慈芳さんに、物件探しのコツや資金調達についてお聞きしました。
 
 
<株式会社美ら地球>
夫婦で岐阜県飛騨市へ移住し、2007年会社を設立。訪日外国人をターゲットとした「飛騨の暮らし」を紹介するガイドツアーを展開。2020年7月に新規事業として空き家の改装と新築による宿泊事業「SATOYAMA STAY」をオープンさせたばかり。
 妻である慈芳さんは東京、夫の拓さんは奈良県のご出身。前職はお二人とも外資系会社でのコンサルタント。
 
 
本題に入る前に、お2人の移住先である飛騨市を紹介します。
 
 
岐阜県飛騨市は岐阜県の北部に位置し、高山市に隣接しています。瀬戸川や白壁の古い町並みなどの観光スポットがあります。年間120万人(H31年度)の観光客が訪れる町ですが、中心市街地でも空き家が目立ち始めました。しかし近年、移住者が移り住み空き家を改装したお店も増えて、新しい風が息づいている町でもあります。
 
 
 
 

1、空き家を選んだ理由 古く良いものを残したい

「歴史的建造物やこの古い町並みを残したいという思いがありました。時を経た風合いや独特の趣、古い木の香り、そういった物にこそ価値があると思うのですが、空き家になってしまい活用されていないのが残念でした。ですから空き家を改装する際には、古いものを修復するように直しました。コストは新建材の安上がりな新築よりもかかりましたが、職人さんの技を残したいという思いが強くありました。
また、古い空き家という事でメイン棟は、想定外な事もありました。古い家は壁を剥ぐって中身を見ないと分からない為、開けてみたら柱が細かったり柱がなかったりして、改装から新築への計画変更もありました。」

メイン棟:元料亭を改築する予定だったが、飛騨の職人の技を生かした新築に変更

 
 
蔵:メイン棟の裏にある。こちらは古いものを残すように修復し改装
 
 

2、物件の探し方
飛騨市移住コンシェルジュ 加藤さんにぜひ相談してみて

「物件は歴史的景観地区でなるべく古い形の建物で、未来まで残したい価値のある建物を探していました。以前、飛騨市の空き家調査の事業をやったことがあるので、どこが空き家なのかは、ある程度、目星はついていました。
それと弊社の顧問をしている加藤時夫さんにも相談しました。加藤さんは飛騨市の移住コンシェルジュの仕事もされています。加藤さんはどこが空き家なのか町の事を把握しているので、相談してみるといいと思います。持ち主さんとの橋渡しもしてくれますよ。移住してきた私たち夫婦が住んでいる家も、加藤さんから紹介していただきました。
不動産屋さんも、親身に相談に乗ってくれます。不動産屋さんの表に出ている値段は売主さんの希望価格。買い取り希望価格があれば、ぜひ不動産屋さんに相談してみて。売主さんに交渉してくれますよ。」

飛騨市の移住コンシェルジュの加藤さん

連絡先
飛騨市役所 地域振興課TEL:0577-62-8904  FAX:0577-73-7077
https://www.hida-kankou.jp/hidakanko/statics/u-turn/info/
 
 

3、資金調達は飛騨を応援してくれるファンドとクラウドファンディングも使っています


「資金の7割弱は岐阜県中小企業資金融資制度と、日本政策金融公庫マル経融資を使っています。残りの1割強は飛騨地域を応援してくれるファンドやクラウドファンディングも活用しました。」

岐阜県中小企業資金融資制度
https://www.pref.gifu.lg.jp/page/2522.html
 
日本政策金融公庫 マル経融資
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/kaizen_m.html
 
<飛騨地域の活性化につながる事業に使えるファンド>
高山信用金庫 たかしんまちづくりファンド 飛騨のMIRAI
<こんなファンドです>
高山市、飛騨市、下呂市および白川村において、空き店舗・古民家等の未活用資産のリノベーション等により、宿泊施設、飲食施設、物販施設等を整備・運営することで地域の課題解決につがるまちづくり事業を対象としたファンド。
https://www.takashin.jp/company/home_hidanomirai.html
連絡先 高山信用金庫各支店または営業統括部(0577-32-2252)
 
<地域に寄り添うクラウドファンディング>
クラウドファンディング 飛騨信用組合 FAAVO飛騨・高山
<こんなクラウドファンディングです>
FAAVO飛騨・高山は地元を盛り上げるプロジェクトに特化したクラウドファンディングプラットフォームです。
https://camp-fire.jp/faavo/partner_page/faavohidatakayama
 
「今回、SATOYAMA STAYを作るため、大きく分けて二つの工事を行いました。1つ目の料亭跡地での新築工事と、空き家だったスナックの改装工事。2つ目は蔵の改装です。
たかしんまちづくりファンドは1つ目の工事の方に活用しました。たかしんまちづくりファンドを選んだ理由は、自宅のすぐ近くにたかしんの支店があって、声をかけるとすぐに来てくれるし声が届く為。利息は支払うが10年後に一括で返済すれば良いので、新規事業で急に売り上げが立つはずもないので使い易かったです。ファンドの趣旨にもあっているので利用しました。
2つ目の蔵は、コロナ禍で収入が減った為、これ以上借り入れを増やすのはためらわれたのでクラウドファンディングに挑戦しました。」
 
古い趣を残して修復し改築した蔵。
 
 
 

4、飛騨に実際に住んでみて

「居心地がとてもいいです。通勤ラッシュや渋滞、道端に落ちているゴミもない。都会で感じるストレスがない!人も少ないので密になりません。
自然が近いのも魅力です。スキー場も近く、都会に暮らしていた時は4時間もかけて車で移動していたのが、20分で行ける。現在は地方で働く事がプラスになる時代。自然が近くて癒される場所です。」

 

5、移住を考えている方にアドバイス

「後先を考えない事!思い立ったらやってみる!合わなかったら戻ればいい。やらない理由を探す前に、ぜひ飛び込んでみて!」

 

6、インタビューを終えての感想

とても勢いのある激励をいただきました!悩んでいても始まらない!一歩踏み出してまた考えればいいと、飛騨に移住と起業で新しい風をこの町に吹き込んでいる山田さんの言葉は重みがあります。
筆者の私は名古屋から飛騨に来た移住者ですが、移住するまでには悩みました。時間もかかりました。私が移住するにあたっての初めの一歩は、お試し住宅で1週間飛騨に滞在する事でした。その中で、飛騨での暮らしをリアルに体感できましたし、飛騨に住んで取り組む仕事が欲しいなと気が付きました。幸い、飛騨地域の新規事業に関する補助制度は手厚いです。今、この記事を読んで迷っている移住希望者の方、ぜひ今できる小さな一歩を踏み出してみてください。

 

7、飛騨地域各自治体の補助制度


空き家活用、移住に関する、飛騨地域の各地自体の補助制度をまとめました。

【高山市】
●飛騨高山ふるさと暮らし・移住促進事業補助金
一戸建住宅を修理・改修する場合、一部経費を助成します。
一戸建住宅を賃借される方に、一部家賃を補助します。

●若者定住促進事業補助金
市内事業所にU・I・Jターン就職又は就業された若者に対して、市内の借家アパート等の家賃の一部を支援します。

●まちなか定住促進事業補助金(株式会社まちづくり飛騨高山)
中心市街地区域内に移住する方がある場合に自己居住用の住宅の新築・取得・改修に要する経費の一部を補助します。
※各種支援制度には条件等があります。必ず事前に担当課にご確認ください。

HP:移住促進
https://www.city.takayama.lg.jp/shisei/1003917/index.html
窓口:高山市役所 企画部 ブランド戦略課
岐阜県高山市花岡町2丁目18番地
TEL:0577-35-3001 FAX:0577-35-3174
E-mail:brand@city.takayama.lg.jp

 

【飛騨市】
●空き店舗改修補助金
市内における空き店舗等の流動化を促進し、商業振興、地域活性化を図るため、市内空き店舗 等の所有者が、店舗を増改築又はリフォームし、賃貸店舗とした場合、その改修費用の一部を補助します。
他にも補助制度があります。
HP:令和2年度版 暮らしに役立つ補助金制度
https://www.city.hida.gifu.jp/soshiki/8/kurashiniyakudatsu.html

窓口:総合政策課
〒509-4292 飛騨市古川町本町2番22号(本庁舎1階)
政策企画係
TEL:0577-73-6558  FAX:0577-73-7077

その他補助金情報はこちらからもご覧いただけます↓

HP:移住者優遇補助金について
https://www.city.hida.gifu.jp/soshiki/9/16458.html

窓口:飛騨市役所 企画部 地域振興課
〒509-4292 岐阜県飛騨市古川町本町2番22号
TEL 0577-62-8904 FAX 0577-73-7077

 

【下呂市】
●下呂市空き店舗等活用事業補助金
市内の空き店舗及び空き家の解消と有効利用を促進し、地域商業の活性化を図るため、空き店舗等を活用して事業を営もうとする方に対して補助金を交付しています。

●下呂市U•I•Jターン促進家賃助成事業補助金
下呂市に移住される方の家賃や、住宅の購入、新築等にかかる費用を助成しています。
その他引越しなどに要する移住経費を支援する助成金などがあります。

HP:「下呂市に住んでみんかな!」 -移住定住を応援します!-
http://www.city.gero.lg.jp/iju

窓口:下呂市役所 市長公室 市民活動推進課
〒509-2295 下呂市森960番地
TEL:0576-24-2222(内線254) FAX:0576-25-3250
mail:gco000003@city.gero.lg.jp


【白川村】
空き家情報はWebで公開されていないので、現地にてご覧ください。

 

比留木恵子
比留木恵子

2017年に田舎暮らしがしたくて、名古屋から高山市へ移住。保育園と小学生の子供がいる4人家族。仕事は、飛騨の美味しいものを全国に届ける通販サイトのアドバイザーをしている。地域活性化・まちづくりに興味があり、色んな人と喋れるワークショップが大好き。最近はパン作りに夢中。焼き立てパンを頬張る時がなによりの至福。

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